
「イノベーションにより変化に積極的に適応することが、企業が生き残る唯一の方法である。」
いたるところでイノベーションの必要性が語られ、
現代の企業家のミッションはイノベーションを起こすことであるといっても過言ではないでしょう。
破壊的イノベーション、持続的イノベーション、プロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーション、組織イノベーション、マーケティング・イノベーション、バリュー・イノベーション…そして、イノベーションのジレンマ…。
もはや、イノベーションに取り組む前に、イノベーションの洪水に飲み込まれてしまいそうです。
では、私たちはイノベーション理論の海に飲み込まれてしまう前に、一体どのようにイノベーションに取り組んでいけば良いのでしょうか?
ここでは参考として、
実際にイノベーションに取り組んだ企業が直面したイノベーションの阻害要因が何だったのかについて、
中小企業白書(2015年)のデータから考えてみましょう。

まず、大企業においては、
「能力ある従業者不足」が突出して高い比率になっています。
この点は、大企業は個別分野においてのエキスパートは多く抱えているものの、
ひとつの事業を新たにゼロから立ち上げられる起業家的人材、
事業をワンパッケージとしてハンドリングできる経営者的人材については、
不足していると考えられるのではないでしょうか。
組織が大規模になると、
細分化された職務の中にポテンシャルの高い人材が埋もれてしまう構図が読み取れます。
また、企業側が冒険的な取り組みに対する許容度合が低く、
停滞、失敗を個人の責任として処理してしまっているということも考えられます。
一方、小規模事業者については
「社内・グループ内資金不足」や「社外・グループ外資金不足」、「イノベーションのコストが高すぎること」といった、
資金についての項目が顕著に多いことがわかります。
中規模企業に関しては、
大企業と小規模事業者の双方の特徴を兼ねているといったところで、
「社内・グループ内資金不足」が最も高く、次いで、「能力ある従業者不足」となっています。
資金不足に関しては、オスロ・マニュアル(イノベーション調査の国際ガイドライン)に
中小企業のイノベーションについて、「金融」が大きな課題であるという記載があるように、
中小企業、特に、小規模事業者のイノベーションの活発化に向けた資金調達の重要性が浮き彫りになっています。
中小企業のイノベーションの成否は、
円滑な資金調達、事前に様々なケースを予測した柔軟な財務戦略が鍵を握っていることは間違いないでしょう。
未来を展望し、世の中の仕組みを変えてしまうようなイノベーションを実現することは容易ではありませんが、
必要な資金を計画的に調達することは周到に準備することによって十分実現することが可能です。
まずはイノベーションを支える財務戦略を一歩一歩、構築することから始めましょう。